ピリオドのこっちがわ

さまざまな記録と想像

お話

名探偵になりたかった

ミステリーを小説を読むのが好きな人は、頭の中にたくさんの名探偵が住んでいて、時と場合によって呼び出し、こういう時にあの名探偵ならこうするなあとか、考えることが出来るのだろうかと想像してみると、ほのかに羨ましさがある。 私は名探偵になりたいの…

体から熱が放射されている夜、足が触れている布団は私の体温よりも熱くなっている。私の体温以上に熱くなることはないはずだけれども、まるで布団自体が熱を放っているかのような感覚がして、必要以上にぼうぼうなさる。そんな夜は巨大な獣の上に寝ている気…

健康診断・オブ・ザ・デッド

私はゾンビなんですけれど、今日は健康診断がありました。 ゾンビなので、そんなものはどうでもいいと思いがちなのですが、やっぱり不健康というのはとても大事ですし、できれば塵になって消えるまで、ちゃんと腐敗していたいですよね。 ゾンビ活動の中で摂…

夢について

物語はまだ始まってもいなかった、というのを口癖にしていた僕は、人のいない高校の屋上の真ん中でラジオ体操第一をしていた。空は晴れていた。そして僕の気持ちは曇っていた。気持ちが暗い時はオアシスを聞きながらラジオ体操第一をすることにしていたから…

釣り堀で考えたお話

ジェントルマンの先輩と、釣り堀で鯉を釣っている。 とてもほそっこい釣り竿に黄色い糸がついていて、黄色い糸は途中から透明な糸になり、透明な糸の先にはカラフルな鉛筆みたいなウキがついていて、ウキの先には黒い釣り針がついている。 釣り針に変な色の…

うみがめ

雨になると、家の前にうみがめがいる。 転職のために借りた古い一軒家は海の目の前にあった。玄関を出て国道を一本またぐとすぐ浜辺、という立地は、一度失敗した私にとって見るからに感傷的で、心の有様を良い具合に表現してくれているように思えたのだけれ…

終わらないゴールデンウィーク

マンションの2階の、まっくらにした部屋の、影が何重にも塗り重ねられた隅にて、熊の田中と蛙の田中をぶつけ合っていました。 熊の田中のほうが、圧倒的に体が大きく、また力が強いし、手のひらの先には凶刃となるべく運命られた熊爪を持っていましたから、…

ゴーレムくん

仲の良かった後輩の方が「僕は地球上で一番えらい人間になるので」と言って会社を辞めてから3週間が過ぎた頃、どうやら新人が入ってくるようだぞと風が囁いており、人員の不足は以前から私達の業務的な負担を増加させるばかりだったので、なるべく意識を現…

がっかりさんと期待大さんと無さん

がっかりさんと期待大さんと無さんは教室で雑誌を読んでいた。 彼女たちは三人で一冊の雑誌を読むのが好きだった。 がっかりさんがぱらぱらと退屈そうにページをめくり、期待大さんがそれを覗き込み、無さんは虚空を見つめていた。 雑誌は素敵な男性俳優のペ…

お花見ファンタジスタ

高砂さんという人と「お花見に行こう」という話をしていました。 高砂さんは高校時代の同級生で、今は東京で、スーパーハッカーの仕事をしています。 スーパーハッカーという仕事が実際に何をやるのか私にはよくわかりませんけれども、高砂さんとは年に一回…