ピリオドのこっちがわ

さまざまな記録と想像

日記

無いラーメン屋さん

地下鉄の終点にほど近い小さな駅で電車を降りる。 長いホームの端の長い階段をくだっていく。 ラーメン屋さんを探すことに決めていた。 みつからなくても良いと考えていた。 改札を出ると、西口と東口の看板が天井付近に設置してある。 人の行き交う構内を西…

ふらりうどんふらり

こしのあるもちもちの麺をすすっていましたinはなまるうどん。 退社した私は地下鉄に乗って帰路についておりました。電車の中でやっと一冊本を読み終わりました。読む力が衰えているような気がします。驚いたり負けたり、新しいことを知った気になったり感情…

ウインドウズ・ショッピング

それがどういう名前の感情なのかよくしらないけれども、ぶるんぶるんしている時にインターネットをしているといい服が欲しくなる。 服の写真を見て「このなんの変哲もないシャツを着こなせるのはおそらく――世界で私一人だろう」と思い、約一週間に渡って服の…

私の手は

いつだったか、たぶん公園でひとりでぶらぶらしているときだったか、木の棒を拾って振り回して遊んでいるときだったと思うけれど、木の棒ってすごくつかみ心地がよいことに気がつく。 木の棒は、樹皮が取れて乾き吸い付くような感触のものもあれば、ごわごわ…

月曜日が休日の日は

ルージュの伝言を聞いています。 私は魔女でも配達員でもありませんが、 ルージュの伝言はいつ聞いても気分がときめきます。"バスルームにルージュの伝言" あなたなら、そこになんと書きますか。 私ならば、"恥の多い生涯を送ってきました" 月曜日が休日の日…

音楽

音楽についてあまり詳しくはないけれど、youtubeで音楽を聞いていて気がつくことがあった。

善のサイコパス

友人に「今日はどこかへ行こう」とメッセージを送る、すると友人は「光」と返信をしてくる。光。それはおそらくPOSITIVE<肯定>を意味していた。私は電車の中でアフリカの人々の間で伝統的に続けられている性器を切除する習慣について書かれた本を読んでい…

梅雨

天気予報アプリを調べてみると、どうやらずっと雨のようである。そうなると私の気持ちも曇りがちになってくる。天気屋である。晴れた日は晴れた日で「陽射しが熱いから家にいようかな」と思うものである。これもまた天気屋である。となると結局夏、あるいは…

よいホリデー(整備済)

変わらない日々は、生活の機能を低下させない努力で成り立っている。 目に見えるところや、見えないところで、様々な整備が行われている。 午前11時に目覚める。 並の休日ならもっと遅く起きるところだけれど、昨晩は早く眠ることができたので早起きできる…

一日を終わらせるためにすること

ぼんやりしていると死ぬまで一日は、なが~く続いていくのかもしれないな、と私はスポーツドリンクをコップに注ぎながら考えた。スポーツドリンクは、スポーツドリンクという商品名で売られている飲み物で、それってよく考えたら犬に「犬」という名前をつけ…

せせらぎ

春の夜だった。 さっきまで降っていた雨はやみ、生ぬるい風が少しだけ吹いていた。 駅の自転車置き場の柵にもたれて立っていた。 弱った蛍光灯が薄青い光を落としながらぜえぜえ息を切らしていた。 家に帰るのが面倒だったから、柵にもたれて立っていた。 午…

音楽を聴き始める

音楽を聞くことに少し疲れ、思考運動の障害になるということに思い至ってから、耳栓をつけて生活をしていた。それはそれで心穏やかな沈黙の世界が創造され、何も刺激が無いということの心地よさは心の中の無人島で寝ているような感じがしてしまう。 帰宅して…

名探偵ピカチュウを観る

月曜日が休日の時は映画館に行くことにしている。 布団の中で目覚め、なんとなくほこりっぽいような暖められた空気が満ちる部屋の中が青年誌のマンガみたいな感じがするのをほうっておいて、布団の中でスマート&フォンを手に、わたくしはイオンシネマで上映…

荒野のひとり

休日を家で過ごすと、夜眠る時、なぜか心が切なくなる。 だからなるべく外に出かけるようにしていた。 行ったことがない場所を訪れること、楽しかった場所を再訪すること、なんの目論見もなくただ歩きまわること、色々なスタイルで外出をする。 けれど今日は…

激辛カップやきそばを食べる

夜のコンビニエンスストアは、奇跡のふりをして光っている。 光に吸い寄せられるように自動ドアをくぐり、本棚を見ながら飲み物売り場の前を横切る。 インスタント食品の棚に並んでいた真っ赤なパッケージに目を惹かれた。唐辛子の描かれた、見るからに辛そ…

嫌な上司の屁

嫌な上司がいる。 ここではボブル氏と呼ぶことにする。 40代の後半で、真っ黒な髪を小泉純一郎さんみたいにセットしている。 いつもにこやかに話しかけてくれる。 私がモニターに向かって書類を作っていると、ボブル氏が現れる。「あれ、志々見さん少し丸…

マシュマロのお返事

マシュマロが届きました。 はじめに見た時は、「うわなんだこれは!」と思いましたけれども、おそらく何かの意味があるに違いないと思いました。 きっと暗号です。 まさかマシュマロに暗号がおくられてくるとは思ってもみなかったので、発想力がとんでもない…

ゴーレムくんが困る

部屋で本を読んでいるとテーブルの上の携帯電話がメッセージを受信する。「すみません。お聞きしたいことがありまして、今いいですか?」 私を本を閉じ「どうぞ」と返信を打った。 5分経っても音沙汰がない。聞きたいことがあるのは、むしろ私の方だった。 …

Uさんとの会話

「おはようございます」 Uさんは上着を脱ぎながら、微笑みを浮かべて言う。「おはようございます」 私はモニターを眺めながら言う。 Uさんは対面の席に座り、モニターの影に隠れる。「今日は暑くなりそうですねぇ」 Uさんの独特のイントネーションは、形…

けむくじゃらの犬

犬は檻の向こうから通りを眺めている。 その目には確固たる意思が宿っていた。喜びが満ちていた。目が踊っていた。 白色のけむくじゃらの犬は、中華料理屋と駐車場の隙間の檻の中から、祖父の祖母の、ずっと昔の祖先の記憶の中の、草原を見ていた。 燃えるよ…

ゴールデンウィークの終焉

ピコン! メールが届きました。「志々見さん、すみません。あなたは落選です」 私は頭を抱えてリビングの中を放浪し、壁に頭をぶつけ、トイレのドアに頭をぶつけ、玄関に散らかっている靴を履いたり脱いだりした後、流し台の下の隠しおやつボックスの中から…

ふるえる牛丼

紙の丼に盛られた牛丼を持つ手が震えていて、笑ってしまった。 こういうことは、粗忽者の間では当然至極のあるある話しとして囁かれている何気ない出来事だと思われたけれども、出勤の際、昼食を買うのを忘れてしまった私は「仕方ないから会社の近くのコンビ…

ゴールデンウィークの言葉

「志々見さん、君は俺を信じろよ」 古本が壁一面に並んでいる小さな部屋で、私より20歳は年上の彼の放った一言は、その時、偶然にも彼の目を見ていた私にとっては、心臓を五指でしっかりと握りしめられたような感覚のする、とても強い衝撃をもたらした。 …

マシュマロのご紹介

設置していたマシュマロに、いくつかメッセージが届きましたので、紹介します。 メッセージありがとうございます。私はとても楽しく、嬉しく読みました。 はじめてマシュマロに届いたメッセージです、私はとても嬉しくなりました。 遊び心があり、あたたかか…

旅行記:湯河原ひとり旅編

本当は家の鍵も置いていきたかった。 荷物をまとめ(本と財布と下着と)、謎の理論すら築き上げ、心身ともに旅行の準備ができている。 本末転倒ながら行き先を決めたい。 こんな時、インターネットはとても無力だった。「志々見が行きたい場所」と検索してみ…

旅行の準備

あえて言ってみたい「私は旅行のことを何も知らない」と。 友人や知り合いに話を聞いてみると皆さん色々な場所に出向いて、様々な物を見て食べて、見聞を広めたりしているらしく、そういう話から導き出される感情は何も無いんだけれど、nullなんだけれども、…

アウトドア読書家

家で本を読んでいる。 部屋の、自分の机の前の椅子の上で本を読んでいる。 会社のトイレで本を読んでいる。その時、電子書籍で読んでいる。 電車の中で本を読んでいる。揺れながらページをめくるうちに眠たくなっている。夢うつつで小説に書いていない内容が…

ネットカフェダイバー

ロマンチックなことを申し上げますけれど、ネットカフェは深海のようだと思う。 泥の中にじっと身を潜めて目だけ出している深海魚のような人々が、時々ソフトドリンクやソフトクリームや、新しい本を手にするために、隠れ家から、ゆらりと姿を現した時、同じ…

次があるということ

3月、4月に提出していた文の当落が発表され成果は無い。 インターネットに接続してそれぞれのウェブサイトに表示された受賞者の大きな名前がただひたすらに眩しい。 そして無名の無の中で私はくらげのように意識を漂わせてぼんやりする他ない。 いつでもそう…

重版出来!

ネットカフェに入ってなんとなく手にとった話題の漫画『重版出来!』をぺらりと一ページめくった瞬間に「これは大変なものを読んでしまった」と思った。ページをめくる手が止まらないという感覚、実に久しい。久しいぞ! また私を本気にさせてくれる相手が現…