ピリオドのこっちがわ

さまざまな記録と想像

名探偵ピカチュウを観る

 月曜日が休日の時は映画館に行くことにしている。
 布団の中で目覚め、なんとなくほこりっぽいような暖められた空気が満ちる部屋の中が青年誌のマンガみたいな感じがするのをほうっておいて、布団の中でスマート&フォンを手に、わたくしはイオンシネマで上映中の映画スケジュールなどを眺めて希望に胸を膨らませることを人生のメリーゴーランドの一番のクライマックスだと思いたいのである。
 そんなわたくしこと志々見は割と大きなシネマにて何本も上映されるというなかなか大型と思われるホラー映画を見ることに決め時刻を調べ13:50開始としっかり脳裏に焼き付けて近所の映画館までうらうらと歩いて行く昼下がりの暑苦しさもまた春うららかな情緒でもあるのだし戦争も無いし、体もそこそこ健康だし、未来は不安でもノーフューチャーだし、着いて、なんかパップカーンの匂いする自動券売機のモニタにふれた時ホラー映画の上映時間が13:05だと気がついてもう、やってないの。これがもう、言い訳が不可能なくらいに、完全に上映中なの。「責任者ー! おーい責任者ー!」と呼んでみると私の頭が徐々に前にせり出していくの。私の人生の物語の責任者はわたくしだよね。わたくしそこはかとなく微笑み、また血迷い、「もう全然興味がないものを逆に見てみることにしよう」と思って名探偵ピカチュウのチッケットを買って寿司屋でマグロを食べるね。いい感じのマグロ&あまエビを食べり、いい感じの時刻になりり、劇場に向かって席に座ったら周囲に子供&親が多く、「それはそう、それはそう」と思って何度かうなずいてずっと寝たふりなどを繰り返し、でも心の中ではアイロニカルな喜びをにわかに感じている。ピカチュウが誰なのかということも分からず、私は私が誰なのかということだって分からないのだから、それは人生の大型フェリーの中でみんな同じくらい船酔いしてたよね。
 名探偵ピカチュウは、予想に反してずいぶん面白かったから、すぐに誰かに教えたかったし、「ねえ見た? ピカチュウのやつ見た?」と聞いて回りたい気もしたけれどポケモンが特別に好きな人もいなかったからひとり、とても興奮していた。ハリウッドナイズされスポイルされた部分、それはあるかもしれないけれど、充分に面白かったし各種ポケ&モンの持ち味を生かした演出&シナリオは素直にLOVEを感じることおびただしい。続編やリメイクって本当にとてもむずかしいと思うけれど、それでも新しい価値観を作ろうとしたこの映画のスタッフの試みはある程度成功したのではないかと思ってわたくし、すこしポケモンを見直す契機となったかもしれないくらい、好きだよ。
 少しピンクになった町の中をどんぶらこどんぶらこと歩いて帰る道のりの途中で、いつかどこかでゲームボーイを片手にときめいたこと、少し思い出している。